
2019年8月にアメリカのネバダで行われた祭り、バーニングマンに参加してきました
年々規模が大きくなり、日本での知名度も上がってきたこちらのお祭りですが、今回参加して見て初心者にはなかなかハードルの高いイベントだと感じました
ネット上でもどうやって用意をすればいいのかという詳細がなく、初心者はどうすればいいのか理解するのは難しいです
かといってなにも考えずにチケットを取って現地に行ってしまうと、なにも設備のない砂漠での一週間の滞在なので命にすら関わる危険もあります
そういった過酷な環境を生き延びること、そしてイベントのメインである大規模なアートや催し物などをどうやって愉しめばいいのか、私なりにまとめてみました
バーニングマンにマニュアルはない
はじめに断りとして、バーニングマンは通常の音楽フェスなどと比べてもかなり自由度の高い、特になにをしなければならない、なにかを用意しなければならないというものではなく、本人がやりたいことをやればいいというイベントです
私も実際に参加をしてみて、参加者たちのイベントへの関わり方の多様性に驚かされました
ものすごい大掛かりな設備を揃えて参加をしている人もいれば、キャンプの延長のような感覚で暮らしている人もいます
バーニングマンは個人も多くのパフォーマンスをすることで有名ですか、その手の凝り方も人それぞれです
私の場合は、航空券なども含めて予算は大体30万円ほどで、通常のキャンプをしながら特に大掛かりなパフォーマンスはせずに一週間サバイバルするということを主眼にして参加をしました
日本からの参加で、完全に初めてという方はそういった予算感の方が多いような気がします
この記事も、私のそういった参加スタイルを前提に書いています
事前に必要な用意
バーニングマンに参加する際に必要な物を紹介です
一般的な音楽フェスなどと違い、バーニングマンは現地での物販などはないので、事前に必要なものはすべて用意しておく必要があります
ざっくりとした予算は30万円から
バーニングマンに日本から参加する予算は、特殊なことをせずにただ参加というのであれば30万円を目安に考えおくといいと思います
サンフランシスコまでの航空券に12万円ほど、チケットと現地までの交通費(チケットは一般のものを想定。交通費は専用シャトルバスにするかレンタカーにするかでまた変わってくる)で8-10万円ほど、そしてキャンプ用品や食料などの雑費などで8万円ほどと考えておくといいでしょう
こちらで、簡単なテントを張って砂漠でサバイバルするという一番低コストなスタイルでのバーニングマンの参加をすることができます
もし予算に余裕があるのであれば、レンタカーではなくキャンピングカーを借りたり、テントの装備をしっかりして快適に過ごすことも可能です
予算を組んで大掛かりなパフォーマンスをするのもいいでしょう
まずはチケットの購入から。ハードルは少し高いかも
バーニングマンは7万人が集まる大規模なフェスティバルですが、それほどの大人数のフェスにも関わらずチケットの購入はとてもむずかしいです
通常、販売から10分以内に売り切れるため、発売日にはPCの前にスタンバイをして発売されたらすぐに購入ボタンをクリックするようでないと購入はできません
まずはこちらのBurner Profileと呼ばれる、バーニングマンの公式サイトの個人アカウントを制作することから始まります
簡単なテストや緊急連絡先を記入して、チケット発売日までに登録を完了ておきましょう
チケットは、値段や発売日などでかなり多様に販売されており、自分の予算に応じて購入するのがいいでしょう
2019年のチケットの詳細はこちらのページにオフィシャルで情報があります
https://tickets.burningman.org/#fullschedule
基本的に4月の一周目のメインセールで425ドルのものを購入をするのが基本ですが、上記のようにすぐに売り切れてしまうため、こちらで買えたらラッキー程度に思っていたほうがいいです
実際に、私もメインセールで買おうとしていましたが、購入はできませんでした
1400ドルという高額のチケットもあり、そちらは比較的かんたんに購入できるようです
こちらのチケット、値段は高額ですがチケットはただの入場券で、特に特別な特典などはなく入場してしまえば他の参加者と変わりません
どうしてもチケットを取りたいという人はこちらのチケットを検討してみてもいいでしょう
実際、こちらのチケットで入場してきている人も多くいました
他にも、低所得者向けに210ドルのチケットも発売されています
https://tickets.burningman.org/2019-low-income-ticket-program/
こちらはチケットを購入するために自身の収入を証明する書類の手続きなど必要で手間がかかりますが、対象となる方は試してみてもいいかもしれません
一通りのチケットの発売が終了すると、次にSTEPというチケットをやり取りするサイトが5月にひらかれます
こちらに登録しておくと、チケットを譲ってもいいという人から連絡が来て、定価でのチケットのやり取りをすることができます
それ以外のチケットの購入の方法として、テーマキャンプに参加してそこからチケットを貰うという方法があります
テーマキャンプとは、バーニングマンでパフォーマンスを行う単位ごとのキャンプで、複数で集まってキャンプの設備を整えたりチケットの購入もしています
過去の実績があるキャンプには、優先的にチケットが割り当てられているキャンプもあります
そういったテーマキャンプにはバーニングマンのオフィシャルHPから連絡が取れるので、そちらから連絡をとってみて、テーマキャンプに入れてもらい、パフォーマンスを手伝うのでチケットを譲ってもらうというのも方法の一つです
熱意のあるメッセージを送れば、チケットを譲ってもらえる可能性もゼロではないでしょう
ちなみに、私はこちらの方法で今回はチケットを取得しました

チケットは配送と現地受け取りを選ぶことができますが、日本国内に普段在住の方は、配送となると国際郵便の手配となるので現地受け取りが便利です
購入時に登録したパスポート情報と結びついているので、当日に現地でパスポートを提示することでチケットを受け取れます

チケットと一緒にこういった冊子も受け取れます。
こちらで、現地のマップやイベント情報、などを調べることができます
会場内はインターネットが通じないので、こちらの冊子も重宝します
現地への移動はバスか車。お金があれば飛行機もあり
バーニングマンの会場は、ネバダ州のリノという街から北に200キロほど走ったところにある砂漠の中です
時間の感覚として、リノからでは車で3時間、サンフランシスコからは8時間ほどと考えておけばいいでしょう
初めての方は、オフィシャルの交通機関であるバーナーエクスプレスBurner Expressがサンフランシスコとリノからでているのでそちらを利用するのが便利です
バスだと大きな荷物は持ち込めないので、慣れている人や大きな荷物を使いたい人は車での移動が便利です
車の場合、各自での用意となるのでサンフランシスコからレンタカーを借りるのが一般的でしょう
ただ、バーニングマンで利用をすると車が砂で汚れてしまうので、バーニングマンでの使用禁止をしているレンタカーショップもあるので注意です
自分の装備品の大きさなどから都合の良いレンタカーショップを探すことになるでしょう
リノのレンタカーショップは、この時期はバーニングマンでどこも借りられているのでサンフランシスコで借りるのがいいかもしれません
持ち物は人により様々。最低限必要なものだけ紹介
バーニングマンは自由度の高いフェスのため、持ち込むものは人よって本当に様々です
お金持ちは、大きなトレーラーに冷蔵庫やエアコンを積み込み、豪華な家のようなキャンプをつくって快適に過ごしていることもあります
ここでは、最低限生残るために必要な装備だけ紹介します
水と食料
最低限必要なものとして、生き延びるためには絶対に必要です
バーニングマンの会場には、基本的にオフィシャルでの生活に必要な設備はトイレしかありません
すべて自分たちで持ち込んで、自分たちで回収していく必要があります
食料や水も自分たちで持ち込んで一週間をサバイバルする必要があります
私の場合、オレンジとクルミなどのナッツ、そしてスニッカーズのようなカロリーバーとイワシの缶詰をたくさん持ち込み、それを食べて過ごしていました
予算を削って参加をする人は、貧しい食事になりがちですがそれは仕方がないです
また、会場ではお金の流通はなく、食べ物を配っていたり無料のレストランのようなものを運営している人もいたりするので、そこでなにかを食べることはできます
しかし、基本的に人からもらいすぎるというのもバーニングマンのマインドに反するので、最低限の食料は自前で持っていくことは必須です
水に関しても、自分で持っていく必要があります
オフィシャルのバスであるバーナーエクスプレスで現地に行く場合は水は60リットルまで現地で入手できるので、それをもらうための水タンクはあったほうがいいでしょう
自分で車を借りて現地に行く人は、水も持ち込む必要があります
近くのスーパーでタンクに入った水は売っています
一日、3リットルほど。合計で30リットルは最低でも持っていったほうがいいでしょう
現地に着くまでの流れ
オフィシャルのバスであるバーナーエクスプレスで現地にいつまでの流れです
サンフランシスコの場合、バスは街の中心地から
バーニングマンのオフィシャルバス、バーナーエクスプレスはサンフランシスコの中心地から発着しています

サンフランシスコの移動は、Uber(紹介コードjx7vsuqvue)が便利です
こちらからバーニングマンの会場までは、8時間ほどかかります
私は10時のバスに乗りましたが、現地についたのは18時ほどでした
日の入りの時間が20時ぐらいなので、現地についてすぐにテントを張る必要があるため、余裕を持ちたい人は一つ前の8時のバスに乗るといいかもしれません
バスは、途中のサービスエリアに30分ほど止まりますが、小さなお店なのでそちらで現地での食事を買うことはできないと考えていたほうがいいでしょう
バーニングマンの現地で食べるものや日用品は、バスに乗る前にすべて用意しておく必要があります
実際の現地の様子
私が見てきたバーニングマンの様子です
最初の数日はテントの整備と周囲の散策
最初の2日は、私達のグループは持ってきたテントなどの設営に費やしました

日中、10時から15時ぐらいまではとても暑いので、日陰にいないと体力が消耗してしまうため、日中の明るいうちで作業ができるのは本当に僅かな時間です

その時間の間に、テントを張り、水を汲み、食事をしたり、現地の地形を覚えたりしているうちに、はじめの二日間はあっという間に過ぎてしまいました
他の人達も同じように過ごしているようで、はじめの数日はバーニングマンの会場自体も、つくりかけのアートや車などばかりで、まだまだ本調子というようなものではありません
日が経つごとにアートが大きくなっていき、街全体が息をするように動き出してくるのが目に見えてわかるのがとてもおもしろいです
夜も、クラブなどはできていますが、まだまだ完全に完成していない会場も多くあります
一通り様子を見てみて、その後の変化を観察してみるととてもおもしろいです
三日目ぐらいから、いよいよ本調子に。自分の暮らし方が見つかってきます
3日ぐらい経つと、会場の設備もほぼ完成して来ており、自分がどのようにバーニングマンに参加するのかがだいたいわかってきます
私の場合、夜は遅くまでクラブやバーで遊び、昼はお昼ぐらいまで寝て、昼過ぎは周囲を自転車で回って面白い場所を探したり、知り合った人とゆっくりと話すという生活パターンに落ち着きました
他にも、私と一緒に行った知人は、朝早くに起きてヨガのグループに参加し、昼から合唱団に入って、最終日のコンサートに向けて練習をするという参加の仕方をしていました
夜は、静かなところでゆっくりと過ごしていたようです
他にも、オフィシャルに、ボランティアとして例えば街頭に火を灯したりゴミ拾いをしたりという活動の募集もあり、そういったものに参加をしている知人もいました
非常に大きな規模のお祭りで、参加の仕方もそれぞれなので、それぞれが思い思いの過ごし方をすることができるのがバーニングマンの良さなのでしょう
一番の見どころはその規模とアートとパフォーマンスとアートカー。異世界のような景色が広がっています
バーニングマンの最大の見所は、非常に大規模で行われるアートとパフォーマンス、そしてアートカーです
会場の規模として、全体で総面積4.5キロ四方の大きさで、他のイベントなどと比べても際立って大きく、その中に数え切れないアートとパフォーマンスがされており、アートカーも走っています
アートは、ただ見るものもあれば、参加できるもの、触ったり登ったりできるものなど様々で、それぞれアイデアが詰まっているので見てみて飽きることはありません


パフォーマンスも、それぞれができることもしているので、種類が非常に多く、様々な体験をすることができます
アートカーは、本当にバーニングマン独特の文化でしょう

通常の車に、カラフルなデコレーションが施されたものが会場を走り回っています

アートカーによっては、そちらに乗って移動をすることも可能です

ちょっと日本人の感覚からしたら馴染みにくい、アメリカならではの文化かなと感じました
すべてが無料、そして自分も何かを与える。ちょっとずつ価値観が変わっていきます
バーニングマンの特徴として、お金の流通がしておらず、すべてのものが無料で手に入るということがあります

そして、参加者すべてが、なにかを人に与える、ギフティングの精神をもたないと行けないというのがバーニングマンのコンセプトです
こういった事があるため、会場ではお互いになにかを与え合う、困ったときは助け合うという精神が至るところで見られます

私が重いものを運んでいると、至るところで手伝おうかと声をかけられましたし、無料で素敵なお酒や食べ物を分けてもらえるということも多くありました
私も、自分の持ってきた食料や、ギフティングとしてよういした扇子を人にプレゼントするなどの活動をしました
普段、日本で暮らしているとどうしても利害関係や損得で物事を考えてしまいがちですが、バーニングマンの会場では金銭の取引はないため、他人にとって自分がなにをできるかということを考える場面が多くなり、考えも少しずつ変わっていきます
金銭の価値観から離れて、自分にとって一体何をすることが喜びなのか、人とつながることができるのかを、一週間じっくりと考えることができる場所です
本当に自分がやりたいことをやる場所
ギフティングだけでなく、バーニングマンの会場では自分がしたいと思うパフォーマンスを自由にすることができます

お金の流通がないため、もしやっても金銭的に損をするのではないかということを考える必要はありません
簡単な、ファイヤパフォーマンスやダンスのようなものをする人もいましたし、大掛かりなクラブやバーをつくって運営している人もいます
大掛かりなものでは、バーニングマンの会場にはシャワーがないのでシャワーをボランティアとして運営している人もいれば、クラブやバーを運営している人もいます

ファッションも、以前はバーニングマンは全裸の人が多かったようですが、今ではほとんどいなく、独特のファッションをしている人ばかりです
ただ、自分がやりたいことをやる、という環境で、自分はなにがしたいのかを私もこの期間の間にいろいろと考えました
最後はすべてを片付ける。なにも残さないのがバーニングマン
バーニングマンの精神の一つとして、痕跡を残さない、というのがあります
最終日には、マンバーンと呼ばれる、バーニングマンのシンボルを燃やす儀式が行われます

最後の撤収でも、たとえちょっとした紙くず一つでも、自分が出したものはそこに残さず持ち帰らないといけません

どんなに遊んだあとでも、自分の出したゴミはすべて管理をして持ち帰るというこのルールのおかげで、イベントの合間でも常にちょっとした緊張感があるのが他の音楽フェスなどとは違うところです
このルールが有るおかげで、バーニングマンの参加者には一定のモラルが維持されているようで、会場で極体に他人に迷惑をかけるような人を見ることはありませんでした
自分のしたことに責任を持つということで、ただなにも考えずに遊ぶだけのフェスティバルとはまた違うのがバーニングマンです
会場をあとにしてからも、バーニングマンは続く
バーニングマンを終えてから、しばらく日常に戻れない人の状況をDecompressionと呼ぶそうです
確かに、全てが過剰なバーニングマンを終えて日常に戻ると、その落差を受け入れきれないという感覚は私も理解できます
それ以上に、ただの通りすがりの通行人や、お店の店員のような赤の他人にも、以前より遥かに意識が向いている自分の変化に私は驚きました
ほんの些細なことですが、料理を提供してくれた店員への感謝を以前よりもきちんとするようになりましたし、電車などでも他人に席を譲ったり道を開けたりということへの意識が強くなりました
そして、自分が本当になにをしたいのか、なにをすることが喜びなのかを考える時間が増えました
バーニングマンは、他のイベントに比べ、リピーターが非常に多いそうです
私が行ったときにも、もうすでに何回も来ているという人をあちこちで見かけました
そういった何度も人を引きつける魅力は、こういったバーニングマンを終わったあとも続く、余韻が長いことが理由のひとつなのかもしれません
まとめ、すべてが過剰で、刺激の強いイベント
砂漠での過酷な環境や、金銭のやり取りのない特殊なシステム、そして広大な土地に広がるアートやパフォーマンスなど、バーニングマンはすべてが日常と違い、そして全てが過剰なイベントでした
正直、環境が厳しくもう二度と来たくないと言っている人も私の周りではちらほらといました
そういった、圧倒的な刺激の強い環境に身をおいてみるのも悪くはない経験なのではないかなと思っています
お金と日程の都合をつけるのがなかなか難しいイベントではありますが、私は行ってみて大きな収穫を得たと感じました